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憧れの高原列車『小海線』に捧げる叙情詩
小海線ロマン紀行
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第六話 未来観光都市『佐久』

内山峡
太田部駅
 信濃四平と言われているものがあります。善光寺平、松本平、伊奈平そして佐久平です。信州でも屈指の穀倉地帯である佐久平。その良質な米と寒冷な気候、秩父山系から流れてくる千曲川の清流とくればお酒しかありませんね。市内には7蔵の造り酒屋があり少し歩けば造り酒屋にぶつかる、まさに酒の街。長い歴史の中で磨かれはぐくまれた味は、お酒好きであれば全ての銘柄を買いそろえる値打ちはあるかもしれません。そんな酒蔵の白壁と千曲の流れがマッチして風情を見せている中仙道の宿場町が佐久市だったのです。
 その佐久が相次ぐ交通網の完成で見る間に21世紀未来系地方都市へ変貌を遂げました。上信越自動車道の佐久インターチェンジと信越新幹線佐久平駅の完成です。これにより市観光策は一気に拍車がかかり、幹線道路や公営施設の整備、レジャー、リゾート施設の開発へと浸透していったようです。
この連載の主旨からも何より賞賛に値するのは、それまでの唯一の交通機関であったローカル線で
中込駅 滑津駅
北中込駅 岩村田駅
ある『小海線』を見捨てなかったところでしょう。この意味は、一度「佐久平駅」をご覧になれば良くおわかりになると思います。そして自らも観光地の佐久市は、北の軽井沢、南の八ヶ岳、東の妙義荒船、西の蓼科高原と信州高原巡りにはもってこいのベースともなっています。読者の方にもこの大泉高原へアプローチされるなら、一度は佐久廻りのコースをお勧めします。
 この佐久市には小海線の駅は以前から「中佐都」「岩村田」「北中込」「滑津」「中込」「太田部」の6カ所もありましたが、不思議なことに「佐久」という地名の付いた駅は今回完成した7つ目の駅「佐久平」が初めてなのです。あたかも新幹線に駅が出来るまでとっておいたように。
 さて、佐久といえば酒と並ぶ名品に「佐久鯉」があります。「佐久鯉」は江戸後期の文政8年(1825)、大阪淀川より初めて持ち込まれたことが始まりと言われています。以後この佐久鯉は水田養殖というユニークな飼育方法で有名になってゆくことになります。千曲川の伏流水が湧き出す野沢と言う地域一帯の泉で冬を過ごした鯉は、泥を吐き出し、身の締まった歯ごたえのある独特の味を持つわけです。この「佐久鯉」をモチーフにしたコース料理を味わえる料理店、旅館が佐久市内にはいくつもあります。佐久平、旅のしめくくりには佐久鯉で一杯と言うところでしょうか。(つづく
佐久平駅 中佐都駅

第七話 千曲川と小諸

美里駅
 秩父山地の奥深く甲武信ヶ岳を源流とする千曲川。長野県北部を貫き、飛騨山脈にその流れを発する最大の支流犀川(さいかわ)と長野市で合流し、さらに北東へ流れを向け新潟県に入ります。本流は信濃川となり、魚野川を合わせ新潟市で日本海へ注ぐ長さ367キロメートルにも及ぶ我が国第一の長流となります。信濃川上駅からこの千曲川と小海線は谷を同じくし、その間には本流、支流にかかる鉄橋が60ヶ所、トンネルが5ヶ所あり、流れと路線はぴたりと寄り添うように終点まで続いて行きます。
現在、小海線には31の駅がありますが、昭和10年に小諸〜小淵沢間が開通した当初は29駅でした。その後、佐久平駅と「美里駅」が開設されましたが、この美里駅は無人駅ながら、待合室はログキャビン風で公衆トイレ、公衆電話、ロータリーや駐輪場が整備されていて、今風のとてもおしゃれな駅です。次の「三岡駅」も公衆トイレ、公衆電話が整った駅なのに、駅前には昔ながらの
三岡駅 乙女駅
“駄菓子屋”がポツリとあるだけで、そのアンバランスが何とも言えない駅となっています。
 駅名から人気が出そうな「乙女駅」を過ぎ、「東小諸駅」から「しなの鉄道」に合流します。そして終点「小諸駅」。小諸は古くから北国街道(現国道18号線)と甲州佐久往還道(現国道141号線)の交わる要衝の城下町であり、また佐久地方の商業の中心として発達してきました。しかし何より小諸を知らしめたのは島崎藤村でしょう。藤村は、明治32年から7年間教師としてこの町に赴任し、その間『千曲川旅情のうた』『千曲川スケッチ』『落梅集』『破戒』などの詩文を発表しています。なかでも「小諸なる古城のほとり…」ではじまる『千曲川旅情のうた』は城跡「懐古園」と「千曲川」の名を「小諸」とともに広く知らしめました。
 懐古園とそこから眺める千曲川は旅情をかきたてる景色ですが、その正面には奇岩に覆われた山があり、その中腹に「布引観音」釈尊寺があります。「牛に引かれて善光寺詣り」という伝説はこのお寺がはじまりなのです。また釈尊寺は美術史的にも鎌倉期のすぐれた建築とされています。(完)
東小諸駅 小諸駅

番外編 小海線『豆』知識

小海線についてのデータをまとめてみました。
小海線全長:87km
営業距離:78.9km
駅の数:31駅

最も標高の高い地点:野辺山-清里間 1375m
最も標高の低い駅:小諸駅 663m
最も標高の高い駅:野辺山駅 1346m

●トンネルの数:7ヶ所
最長のトンネルは佐久広瀬、信濃川上間にある切岨(せっそ)トンネルで709mです。
ちなみに甲斐大泉・清里間の「川俣トンネル」は455mで2番目に長いトンネルです。

●鉄橋の数:64ヶ所
100メートル以上の鉄橋は小海・松原湖間の第7千曲川鉄橋(113m)と
佐久海ノ口・佐久広瀬間の第4千曲川(104m)です。

 

沿線開通の年譜

●「佐久鉄道」
 小諸−中込間
 中込−羽黒下間
 羽黒下−小海間

大正4年8月8日
大正4年12月28日
大正8年3月11日
●「小海北線」として
 小海−佐久海ノ口間

昭和7年12月27日
●「小海南線」として
 小淵沢−清里間
 国鉄移管「小海線」誕生
 佐久海の口−信濃川上間
 信濃川上−清里間

昭和8年7月27日
昭和9年9月1日
昭和10年1月16日
昭和10年11月29日
●「小海線」全線開通 昭和10年11月29日
八ヶ岳『小海線』関連サイト
夢ロード21
やつがネット『小海線企画』

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